………… 美容師になって早22年、長年髪の毛に携わる仕事をしてきました。大好きな仕事だからこそもっと色々な方面で勉強したいと思い30代で渡米しました。
そこでは美容師としての仕事ではなくファッション業界の仕事例えば雑誌の撮影、広告の撮影、ニューヨーク、ミラノ、パリでのコレクションの仕事を携わっていました。私にとってはとても刺激的で毎日が勉強で充実していました。
第三者から見たらあるいは華やかな世界としか見えないかもしれませんが、携わるモデルさんや女優さんやスタッフなど色々な国の方なのですが皆普通の人間でたわいもない会話や悩みやライフスタイルなどお話ししたりして仕事を楽しくしていました。
私はヘアースタイリストとして撮影などをしていたのでやはり会話は髪の毛に関するものも多く面白いことに海外の方は日本人は丁寧で上手だし日本の薬剤やヘアケア製品も優しい物という認識がありました。私からみたらアジア人とは違う髪質だし普段はどういうケアをしているのか色々聞いたりしてなるほどと感心することも多々ありました。
髪の毛はモデルさんや女優さんにとって肌と一緒でケアを欠かさずに常に美しく見せたいものだと思いました。ヘアケア製品にはこだわっていて、自分の髪質に合わせた製品を使う。毎日シャンプーはしないなど皆自分の髪のことを熟知していました。撮影などでは一切スタイリング剤は使わないで水だけで仕上げて欲しいとか、私が設定したアイロンの温度を確認してくるとか、自分で考え抜いた結果としてのセットの巻き方の指定をしてくるとか、私の髪質はこうだからこういう風にするとうまくいくからといったことをすっごく知っているのです。
私は彼女たちと仕事をすることで、まずご本人に確認するということの大事さを学びました。だからこそ雑誌や広告などはトータルで美しいのだなと思います。美意識が高いとかではなく当たり前に自分のことをよく熟知しているのだと思います。それは一般の方も同じで、くるくるのウェービーヘアーの子が時間がなくても毎日髪だけはストレートにブローするとか、ストレートヘアーの子が髪を巻いて華やかに見せるとか、そういった意識と一緒だと思います。
私は美容師なので、なんて素敵なんだ。日本人ももっと自分のことを熟知して、見た目ばかり気にせずに自分の短所を生かして長所にすることを学べばもっとライフスタイルが楽しくなるのにと思いました。
ニューヨークは色々な国の方が住んでいるのでライフスタイルに合わせてオーガニック専門店が沢山あって、しかも値段的にも良心的でした。なのでライフスタイルから体に良いものを取り入れるという認識は当たり前のように小さい子から大人まで持っていたと思います。
ヘナももちろんオーガニックショップにいつもある製品でした。今思えば私がニューヨークでヘナに出会ったのはファッションショーの仕込みをしている時でメインとなるヘアーアーティストが「無色のヘナ」(ソジャットヘナブランドで言えばトリートメントクリアのような処方だったのかも?)を何人ものブロンドの毛のモデルさんに塗布して、わざと泥を塗ったように仕上げていってびっくりしたのを覚えています。「あれは何を塗ったの?」って聞いたら「ヘナだよ」って。「オーガニックの無色だから顔にも塗っても何も問題ないよ」って言って笑っていたのを覚えています。
私にとって当時はヘナの認識がなかったのでヘナイコールかぶれるもの(化学物質入りのヘナ商品が多いので)、色が重く染まるものと思っていたのでなるほどそういうヘナもあるのかと思いました。
仕事などで携わる方でもヘナを使っている方がいて、ブロンドに不思議な感じのブルーを入れている方やポイントでナチュラルを入れている方、綺麗にカラーリングはしているのに髪の毛をいたわるために定期的にヘナもする方、白髪にインディゴを入れている方など、ファッションとヘナを融合している方。またはくせ毛すぎてどうしようもないからヘナで定期的に癖を抑えている方など、今思えば身近にヘナユーザーの方や手軽に買える環境だったなと思いました。
今私がヘナを提供する側になって、ヘナの間違った認識をされている方が多いことにびっくりするのと、反対に、ヘナのことを私よりも詳しい方などおられます。
そこで、中間の考え方(例えばヘナをファッションカラーの一部だと捉えてくれる方、ファッションとしてのヘナ)の方が増えたらいいなと思います。
私の中で髪の毛は自由なものなので、決まったカテゴリーに枠付けをするのはやめて好きな髪型をもっと楽しんでくれる方が増えたらヘナももっと身近になるような気がします。
私自身が今新しい学びとしてヘナに直面しているので知れば知るほど面白いと思い、不思議だなと思い毎回が勉強になっています。ですからお客様にも私の施術に対しての指摘もしてもらいたいので、この間の仕上がり具合だとか色の抜け方だとかおたずねしています。
また、お客様側からも感想をおしゃってくるし、私側からもこんな調合したらこんな色になったとか知識のギブアンドテイクの関係でサロンワークをすすめています。
曖昧な仕上がりとかあやふやな提供とかはしないよう、できないものはできないし、わからないことはわからないと言います。
それでもお客様は確実にゆっくりできて「癒されたー」とか「丁寧にやってくれてありがとー」とか、皆様笑顔で帰られていくので私自身もハッピーになります。
日本人の髪も海外の方の髪も私にとってみたら撮影でもサロンでも大事なお客様なので、まず心がけていることは最終的に笑顔で帰っていただけたら嬉しいと思っているのでカウンセリングをとても大事にしています。
嫌なことは押し付けずお客様が求めているものを提供する。そこにはお客様の心の中を知るということが大事だと思っているので、最近の体調や出来事などお話をしてくれる方はもちろんですが、あまりプライベートなことは話さない方もおられるのでそこは違うプロセスの仕方(例えば最初に第一印象のお顔や雰囲気など見て頭皮マッサージから入る、エッセンシャルオイルを選んでいただく、ハーブティーなどを提供する)を大切にしています。
私のコンセプトとして「時間をかけてもいいから確実に良いものを提供する」ということがあります。時間をお客様が私にくださっているのだから、感謝しつつ楽しい時間を一緒に過ごせたらいいなと思っています。
ヘアメイクアーティスト・美容家 佐藤ようこ |